水疱瘡の予防接種とはいわゆる水痘ワクチンである。2年前の平成26年10月1日からある月齢の子ども定期接種になった。しかし、受けるかどうかは議論がある。水痘ワクチンに対する用心の意見がネットにはあるので、スケプティクス(懐疑的)に考えてみよう。
予防接種については、子宮頸がんワクチンのトラブルが記憶にあたらしいためか、予防接種による副反応を恐れたり、実際にかかったほうがちゃんとした免疫がつくと考えたりするなど、水痘ワクチンに対する用心の意見がネットにはあるようだ。
では、スケプティクス(懐疑者)の立場で見たらどうなのか。
3つの理由から予防接種は受けたほうが良い
水疱瘡の予防接種問題。
結論から述べると、定期接種の月齢のお子さんだけでなく、成人も水痘ワクチン接種は受けたほうが良いのではないかと思う。
- お子さんは自身の感染防止のために
- 親になった人は家庭内感染対策に
- 50代以降の人は帯状疱疹対策に
という理由である。
その3点について、ひとつひとつ見ていこう。
お子さんは自身の感染防止のために
まず、水痘ワクチンは生ワクチンであるが、国産である。
子どもの定期接種は2回行われ、1度の接種で重症化を防ぎ、2度の接種で完全に予防する。
副反応は、20~30%の頻度で、接種後5~14日くらいに発熱がみられることがあるという。
発疹も10~20%に出ることがあるが、いずれも通常1~3日で回復するといわれている。
以前は、水痘ワクチンは任意接種であった。
そもそも、成人以降の年齢層は、実際に罹って免疫を獲得している場合が90%という。
一般的に、自分で罹った時の免疫の方が、ワクチンよりも安心で安全である。
では、なぜ実際にかからずに予防接種を行うのか。
それは、罹った場合に重症化するケースがあるからである。
厚生労働省の水痘ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版)によると、ワクチンを接種しない場合、みずぼうそうにかかると100万人に20人が死亡するといわれている。
2004年度以降は、はしかよりも、みずぼうそうによる死亡者のほうが多くなっている。
肺炎、気管支炎、熱性けいれん、細菌感染症、それ以外にも髄膜炎、脳炎など神経系の病気になるリスクが云われている。
とくに、みずぼうそうの免疫を母親からもらっていない0歳児や、母親の免疫が消えて自分の免疫が完成していない1歳児での罹患は重症化に注意が必要といわれている。
親になった人は家庭内感染対策に
たとえば、子どもが感染し、そこから親に感染することはめずらしいことではない。
もちろん、逆もある。
そして、自分の家庭から、子どもを通じて他の家庭にうつることもある。
水疱瘡や帯状疱疹のウイルスは粒子が非常に小さい。
そこで空気中に漂っている時間が長く、したがって感染力は強いのてある。
しかも、大人になるほど重症化の可能性が高くなる。
とくに、妊婦は注意と言われている。
自分の家庭に妊婦はいなくても、自分の家庭から妊婦のいる家庭にうつしてしまうことはあり得る。
また、予防接種が任意接種の世代は、1度しか行っていないので、予防接種を行っていても罹患する可能性がある。
そして、その家庭に複数の子どもがいる場合、感染するたびに重症化するとも云われている。
自分のためにも、他人様のためにも、きちんと予防接種を行ったほうがいいといえるのではないだろうか。
50代以降の人は帯状疱疹対策に
中には、子どもがおらず、自身も子供の頃罹患済みという人もいるだろう。
では、その人々が今回の話題に無関係かというと、残念ながらそうではない。
みずぼうそうは、1度感染すると生涯免疫を得るといわれているが、まれに再度感染することもあるのだ。
大人の水ぼうそうは、発疹の出る前に、まず発熱が数日続くという。
そして、その発熱によって肺炎を併発する可能性も高くなる。
成人は、すでに免疫システムが体内に出来上がっているため、抗体反応が子どもよりも強く出てしまうことが原因なのである。
また、ウイルスは、症状が治まっても体の中に潜伏している。
数十年後、加齢などのきっかけでウイルスが活性化すると、「帯状疱疹(ヘルペス)」として再発することがある。
みずぼうそうの免疫のない人が触ると、水ぼうそうとしてうつることもあるのだ。
社会に拡散される感染力の強い病気は、誰か特定の人だけが気をつければいいというものではなく、社会全体から元を断つことが求められる。
その意味でも、冒頭に書いたように、子、親、高齢者、すべての立場や世代の人が、水痘ワクチンを接種しておくほうが良いかもしれない。
水疱瘡の予防接種、まとめ
水疱瘡の予防接種については、懐疑的な意見もある。
しかし、結論を述べると受けたほうがいいだろう。
以上、水疱瘡の予防接種は2年前の平成26年10月1日から定期接種になったが水痘ワクチンに対する用心の意見がネットにはある、はここまで。
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