肺がん、アスベストも胸腔鏡手術

肺がんといえば、日本ではもっとも多いがん死亡者だ。喫煙との関連が強く疑われているが、必ずしもそれだけではない。たとえば、2006年クボタショックで有名になったアスベストによる肺がんや中皮腫もある。それらも胸腔鏡手術を行う名医がいる。

肺がんに“鬼手仏心”で手術を行う名医

「東京スポーツ」(10月11日付)では、その肺がんに“鬼手仏心”で手術を行う名医が紹介されている。

千葉県市川市・化学療法研究所附属病院(千葉県市川市)呼吸器外科の小中千守副院長だ。

今日までに2000例を超える肺がん手術を行っているという。さっそく同紙から引用しよう。

「私の肺がん手術は100%胸腔鏡を用いた手術です。胸腔鏡だけで行う『完全鏡視下手術』もありますし、『胸腔鏡補助下手術』もあります。患者さんの体にやさしい手術があるのに、それを行わない手はありません」

 完全鏡視下手術は胸に3~5か所の小さな刺しキズだけで手術を行う。胸腔鏡補助下手術は、3か所の小さな刺しキズ以外に8センチ程度の切開を加え、胸腔鏡のみならず、患部の直視を邸見て手術を行う。
 2011年の肺がん手術数は36例、そのほか胸腔鏡による自然気胸が59例、縦隔腫瘍が11例など。もちろん、開胸手術を行わないのではない。ベースとなる開胸手術も折り紙付き。
「アスベストが原因となって起こる悪性胸膜中皮腫の手術も行います。胸膜と肺を開胸して切除します。そのときも胸腔鏡を加えると、今まで直視できなかったところをしっかり確認して手術ができるのです。胸腔鏡というのは非常に有効です」


もっとも、小中千守副院長は、自らを名医ということは求めていない。理由は、一代芸のような「神の手」は要らない!という考え方からだ。

「その人しかできない手術では救える人数は限られています。ならば、標準的手術を数多くの医師に教える。術者が増えるので、救われる人が増えます」

ということだ。

最善の手術を選択するときは、どの手術も必要

小中千守副院長にとっての転機は、1999年に自分の娘を手術しなければならなくなったとき。

「中学生の娘が縦隔腫瘍のひとつ、神経性腫瘍と診断され、私が手術をすることにしました」「他の人が手術をして何かあったら誰が責任を取るのか、ということです。娘の体にキズをつけるのは親としてつらいものがありました。そこで、肺がんで行っていた胸腔鏡手術を選択しました」

胸腔鏡なら体に残る傷が少なくてすむ。

だったら、どこの病院も胸腔鏡手術一本に切り替えればいいのではないかと思うが、そう単純なものではない。

小中千守副院長曰く、胸腔鏡手術ばかり行う施設だと、大出血を起こしたときに開胸手術ができないところがある。かといって開胸手術しかないのは患者さんのことを考えていない。

最善の手術を選択するときは、どの手術も必要である。

なるほど。肺がんに限らず、がんにはならないほうがいいに決まっているが、なった場合の選択肢として覚えておきたい医師と病院である。

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