血液型性格診断が現在の説で普及したのが70年代からというのは前回書いたとおりだ。その熱中ぶりは、以来いろいろな試みとして実践され、また話題にもなった。84年1月にはアサヒビールが、全国の男女一四六四人に「個別面接」で「血液型別飲酒実験調査」を行っている。
それによると、自分の雰囲気を大切に、気配りもソツなく(A型)、ざっくばらんにマイペース(B型)、オープンな付き合いで、和気あいあい(O型)、人当たりの良さとクールな面を合わせ持つ(AB型)という所見が出たとか。
さらに「血液型と相性」では、「どの血液型も同じ血液型の人を飲み友達として選ぶ傾向が強い」「A型とB型の相性は良くない」「B型とAB型の相性は良くない」などとしている。
「実験調査」も結構だが、「気配りもソツな」い人(A型)と「ざっくばらん」な人(B型)でさえ「相性は良くない」のだとしたら、もう誰とも酒が飲めなくなるのではないだろうか。
日本グループダイナミックス学会では85年、弘前大の林春男助教授が「サザエさんちの血液型」なる研究論文を発表している。大学生80名に「漫画サザエさんのイソノ家の人たちは、どんな血液型と想像できるか」をたずね、その結果をまとめたものだそうだ。
それによると、サザエと弟のカツオがB型、夫のマスオ、妹のワカメ、母親の舟がA型、父親波平、子のタラちゃんがO型だったそうだ。
架空の人物になぜそんなことがわかるのか。
学生たちはA型が「まじめ」、O型が「おおらか」、B型が「明るい」、AB型が「かしこい」などの所見をもとに判断したからとか。
「磯野家の謎」でも解き明かさなかったテーマに取り組んでいるわけだ。
ところで、「明るい」だの「おおらか」だのといった性格の線引きはどこで行うのか。つまり、こういう分け方なら、「明る」くてなおかつ「かしこい」人の分類ができない。
血液型診断は、そのようなあいまいさを含んでいるのだ。
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